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 自分で言うのもなんだが質素な部屋の片隅に突然豪華なガラス細工が置かれている光景はいかがなものか。
 そうサイタマ氏が言うので、なんのことかわからないまま携帯ゲームから顔を上げた俺を、サイタマ氏は視線で誘導した。
 小さな棚の隣の小さなテーブルの上に、本とゲーム機とテレビのリモコンと、ボウルよりは二回りほど小さな色とりどりのガラス皿のようなものがおいてあった。ガラス細工というからにはあの皿のことなのだろう。
「どうしたの、あれ」
 サイタマ氏は微妙な顔をする。
「鍋食った後に増えてた」
「つまり誰が持ってきたかわからないの?」
「しかも家の鍵を入れたら意外に収まりがよくてな」
「使ってるのね」
 そうだ、とサイタマ氏が頷いた。家の鍵を入れたら傷も付いているだろうし、返すことは出来ないんじゃないかな。
「いいんじゃない?そのまま使えば」
「問題はな」
「うん」
「金に困ったときに売れるようなものだったらどうしようかと」
「…もう傷とかついちゃってるんじゃない?」
「!」
「ガラスだし」
 サイタマ氏が頭を抱えだした。結構基本的なことを失念しているところがサイタマ氏らしい。今はこれ以上傷をつけない方がいいのかなんて考えているようだけれど。
「でもほら、壁にこう、ステンドグラスみたいな模様が出てきれいだからいいじゃない」
「うーん」
「それにこの部屋さあ」
「ん?」
「そんなものより話題のものがあるし、そのガラスくらいいいんじゃないかなあ」
「なんだよ。あれより違和感あるものあったか?」
「う、うん」
 そわそわとサイタマ氏の後ろに視線を移すと、サイタマ氏は後ろを向いて、そこでサイタマ氏の肩を揉んでいたジェノス氏と目を合わせた。
「うん…気づいてないみたいだから言うけど、ジェノス氏がサイタマ氏の家に居候してることの方が、ガラスよりよっぽど不自然だから…」
「何でだよ」
「S級のジェノス氏が師と仰ぐのが不思議らしいよ。まあみんなサイタマ氏の強さを知らないからそう思うんだろうけど」
「やはり先生には皆に実力を見てもらう機会を」
「いやそういうの興味ないし」
 …こんなに話しやすくて、ゲームの敵が倒せないと人を呼び出すくらいの人なのになあ。人を憧れさせるのはピカイチなんだから。あ、倒せた。
「サイタマ氏、倒せたよ。これ中ボスだけど大丈夫なの?」
「お、さんきゅ。ラスボスまでには俺もうまくなるだろ」
「じゃあ帰るね」
「飯は?」
「いいよ。朝炊いたご飯残ってるし」
「そうか。じゃあな」
「うん、それじゃ」
 両氏に見送られて家を出る。朝8時に呼び出されて10時に帰る。考えて見ると、あのゲームのボスほとんど自分で倒してないんじゃないかな。
「まあそのうちうまくなるよね」
 今日も太陽が眩しいなあ。
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