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 私が目標とした二人の医者のうち、一人は既にこの世にいないが、もう一人はどこかに存在しているかもしれない。
 会うことは不可能なのだろう。既に死んでいてもおかしくはない。何せ戦時中のジャングルに降ってくるような人間だから。
「へえ」
 死ぬまでには一言礼を言いたい。しかし名前もわからずなかなか追えないのだ。あれだけの技術を持っていたら噂にのぼるはずなのに・・・世を捨ててでもまだ生きていてくれればいいが、彼は私より年上だったからな。
「そりゃあ、いい歳だねえ」
 だからまだお前に殺されるわけにはいかない。ベッドから離れたら近寄らないでくれ。
「今日は何回死んだ?だいぶ奥突いたからね。お腹おかしいんじゃない?今度直腸検査してやろうか?」
 結構だ。もうお前とベッドに入るものか。
「それこの間も言ってたよね」
 次はない。人の服を投げ捨てやがって。シワになったらどうするんだ。
「洗ってアイロンかけて元通り、だろ?」
 そんな簡単に戻せるものならいいが、・・・おい、私のリボンタイはどこだ。
「手首縛ってたやつ?」
 貴様というやつは――
「だって暴れるんだもの。はい、これでしょ?ところでさ」
 そこのシャツも寄越せ。ベルトを踏むな。邪魔だ。
「その人もう死んでるんじゃない?・・・ねえ、そのまま帰る気?シャワー浴びなよ。俺の匂いが染み付いたままっていうのもいいけど」
 お前から目を離すなんざ冗談じゃない。それにあの人は生きている。そんな気がする。
「じゃあ一緒に入る?出てくる気のない医者のことなんか忘れなよ。あんたがこれだけ探し回って見つからないんでしょ?そしたらもう牢屋の中としか思えないよね」
 牢屋か。それだったらまだいいな。
「ねえ、ほんとにシャワー浴びないの?精液の匂いさせて帰るの?入りなさいよ。なんなら俺が先出ていってもいいし」
 そうか、お前が先に出ていけばいいのか。よし、出ていけ。
「本当に極端だよね。・・・まあ、あんたを変えるのもその医者を見つけるのも難しそうだ」
 ・・・そんなことはない。私も随分と変わった。
「そう?」
 昔なら、少なくともお前と寝ようとは考えなかった。
「・・・・・・そうかもね」
 今何時だ?
「もう朝だよ」
 チェックアウトまであと四時間あるのか。 
「ほんと君、誘うの下手だよねえ」
 誘ってなんかいない。もう服も着た。お前だって出る準備をしていただろう?
「君が引き止めやすいようにね。追いかけるのも疲れるだろう?」
 私は患者を治しているだけだ。たまにお前に出会ってしまうだけで。
「会えない医者を探しながら?」
 ああ。いつか会えると信じているからな。
「きっと会えないって。もう死んでるだろうから、その医者は。だから俺を相手にしてよ」
 越えられない壁の中にいるかもしれないだろ?それなら私はその壁を叩き続けるまでだよ。崩れるまで。
「案外飛び越えちゃってることに気づいてないのは本人だけかもよ?」
 ・・・え?
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