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◎食について
  こだわりはない?
  白菜がお好きのようだ(冬の今安いから?)
  うどん
  食べる量はうどんなら三玉と少し
  辛いものは意外と平気
  夏場はアイス
    ※アイスはバニラかミルク
  何があっても米は切らさないこと
  食べられそうな怪人は必ず捕獲すること
  鍋?
  白菜がなくなって怒ったのでやはり白菜
  買い物はセールの日にまとめてすること
    ※セール以外はいつも行くスーパーで購入
 
 
 
 
  
 ノートを閉じた。
 ベランダに出て洗濯物を干す作業に戻る。
 どうしても気になってしまい、洗濯の途中でノートを開いたのだが、問題は解決しなかった。
 先生の好みはよくわかっていないが、ご飯とうどんがお好きで、お金の関係で外食はあまりしないことはわかっている。
 ここに来てからというもの、炊事は俺がやっているが特に何かを言われたこともない。
 全て完食している。
 足りないと言われたこともない(先生の食べる量は把握済み)。
 以上を踏まえて――考察しよう。
 200メートル先に見える買い物帰りの先生が手に持っているものについて。
 口に運んだ。
 食べた。
 ゴミを袋に戻した。
 袋に手を入れた。
 手を出した。
 黒いものを握っている。
 こちらに気付く。
 手を振る。
 俺が振り返す。
 俺が―
「先生、俺の作るご飯は足りませんか?」
 帰宅したサイタマ先生からスーパーの袋を受け取った。
 長ネギがはみ出している。
 黒い塊が数個、底の方に見えた。
「いや、別に。てか何言ってんの?」
「先生が珍しくというか、先生が外で買って間食をするところを初めて見たので」
「ああ、家で作るほうが安いしうまいしな。ただたまに食べたくなるんだよな、タラコとか昆布とか。でもタラコ買ってくると食い切るまで毎日タラコになるだろ?」
「なるほど・・・」
「まあ、今日はもらったからだけど」
「え?」
 先生が冷蔵庫に向かった。
 煮出した麦茶を入れたペットボトルを取り出してコップへ注ぐ。
「つまみ食いしたから晩飯は少し遅くなってもいいぞ」
「わかりました。あの――このおにぎりは」
「いつも行くスーパーの手前にコンビニが出来たんだ。なんか襲われてたから助けたらくれた」
 たらこ、明太子、梅三個、高菜二個。
「冷蔵庫に入れたら硬くなるかな」
「先生」
「ん?」
「これ、賞味期限が今日の25時までです」
「え?」
「米は炊かなくても良さそうですね」
「・・・なんかそんなことないのに損した気分だ」
 先生がぼやいてから定位置に寝転がった。
 行く前に読んでいた本の続きを探し読み始めたので、俺は長ネギをキッチンに置いて豆腐を冷蔵庫にしまった。
「では晩御飯は8時頃に用意します」
「おー」
 早くも読書に熱中し始めた先生の後ろ姿を見ながら、俺はコンビニにどう報復するか考えることにした。
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