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アンタのいいように弄ばれて
言いようの無い不安感に苛まれて
それでも、もうこれ以上は傷つくことがないと思っていた。
 
  
   
   
   
   
   
パンッと
乾いた音が耳の奥で鳴って
思わず張られた頬を押さえ
アンタを見上げる。
長い髪をぐしゃぐしゃと掻き揚げながら
アンタは言った。
 
 
 
 
 
―そんなんだろうと思っていたけどよ
―だからって俺の前ではそんな姿を見せることはねぇと思ってたんだがな
―結局、お前もただの淫乱ってことかよ
―俺以外の奴に突っ込まれてもイけんだな
―あー まぁ俺がそうしたっていやーそうだけど なんつーかなぁ
―いや、何でもねぇ てかもう来んな 何かもうお前を抱ける気がしねぇ
 
 
 
本当にこんな尻軽になるとは思ってなかったんだけどよ
 
 
 
じゃあな、と言って
アンタはシャワールームへ消えて行った。
アンタに好かれてるとは露ほどにも思ってもなかったし
別にそれでもいいと思っていた。
だから、アンタが俺に
アンタ以外の奴に抱かれて見せろと言ったとき
これ以上傷つくことはないから と
アンタが見ているのなら と。
 
俺は馬鹿だ
アンタにこんなことさせるくらい
俺は俺でなくなっていたのか
 
脱ぎ散らかしていた服を着て
アンタの髪から滴り落ちる水の音をドア越しに聞きながら
ゆっくりとその部屋を出て行った
 
アンタの精一杯の優しさを含んだ軽蔑の一言が
ドアを閉める寸前に聞こえてくる。
戻ってきたときにまだそこにいやがったらただじゃおかねぇ と。
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