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「シンタロー、きょうだいがいるっていうのはどんな気持ちなんだ?」
「え?あー、んー。そうだなぁ」
 晴れた日、洗濯物を干していた俺の足元にいたパプワが
 唐突にそんなことを言った。
 俺を見ながら言った言葉ではなく
 どこか遠いところを見ながら言ったところからして、
 もしかすると兄弟が欲しいのかもしれない。
「チャッピー、見たいなもんじゃないか?」
「チャッピーは友達だぞ。兄弟っていうのは友達なのか?」
「うーん・・・なんていうんかな、そのとっても大」
「おやつが出来ましたよシンタローさ」
 土煙が上がった。
 少々爆音も聞こえたような気がしないでもない。
「つまりだな、とっても大切な存在だ」
「友達よりもか?」
「うーん。そこはほら、比べられないだろ」
「・・・」
「血の繋がりだけが兄弟ってわけじゃねぇし・・・」
 パンッ、と、シャツの肩を伸ばしてハンガーを通し
 釣竿にひっかける。
 肩の位置を調整しながら、
「血が繋がってるとも思えない兄弟もいるだろ」
 と答える。
 パプワはどこか納得したような顔をしていた。
「俺がコタローのことを溺愛しているのはー」
「ショタコンだからだナ」
「わぅん」
「ちゃうわい!」
 いつの間にかパプワのそばにチャッピーが寄り添っていた。
 まだシャンプーの途中なのか、びしょ濡れのままだ。
「あれ、チャッピーどうしたんだ?洗ってもらってたんじゃないのか?」
「わぅん・・・。わぅわぅ」
「え?おやつ作らなきゃいけないからって言われて放り出された?」
「わぅぅん・・・」
「そりゃひでぇな。眼魔砲」
 俺達の右側の方から、また爆音が響いてきた。
 少ししてから、呻き声のようなものが聞こえてくる。
「あぁ風邪引いちまうな。すぐ干すからお湯張って待ってろよ、チャッピー」
「わぅん」
「パプワ、桶にお湯入れておいてもらえるか?さっき沸かしといたから」
「ン」
「あ、それとな」
「ン?」
 既に俺に背を向けていたパプワが振り返った。
「兄弟だと思ってる奴に、お前は兄弟じゃないって言われたら結構傷つくけど
 でも友達と一緒だろ?そういうのってさ。 アァッモウッ!
 うまく言えなくてワリィな・・・」
「ありがとう、シンタロー」
「いや、ワリィな・・・なんか全然答えになってなくてよ」
「そんなことはないゾ。
 僕は一人だって思うところだった。
 でもチャッピーたちや、島の皆がいる。
 だから寂しくなんかないゾ」
「あぁ」
「それと」
「ん?」
「シンタロー、お前もナ」
「!」
「チャッピー、お風呂」
「わぅん!」
 家の裏側へと消えていく一人と一匹の姿を見送って、洗濯物を摘み上げた。
 残り一枚のこのシャツを干したら裏庭に行って、
 樽に湯を張ったチャッピーを洗わなければならない。
 パプワに会わなければならない。
 意識しないように意識すれば、さらに意識するのは当たり前で
 いつの間にかパプワの言葉が頭の中を埋め尽くし、
 段々顔が熱くなるのを自覚する。
 参った。今のはかなりの不意打ちだ。
「俺も・・・お前が大事だぜ」
 ポソリと呟いて、俺は洗濯籠の水気をぶちまけた。
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