忍者ブログ
HPから移転しました。
| Home | Info | 更新履歴 | バハラグ | オーフェン | 頭文字D | FF7 | ミスフル | PAPUWA | ブラックジャック | 結界師 | 鋼錬 | DARK EDGE | FE聖戦 | トルーパー | コナン | ワンパンマン | T&B | クロサギ | 宇宙兄弟 | DP | なろう系 | メダリスト |
[125]  [123]  [122]  [121]  [120]  [119]  [118]  [117]  [116]  [115]  [114
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

たまに、俺とパプワが同じ世界で生きていることが
夢じゃないかと思うときがある。
ふとそう思ってしまうと最後で、すぐに俺の指先は冷たくなる。
その何かに似た感情は、一人になったときに襲って来ることが多い。
思わずパプワたちの姿を探し、探している自分に気付き鬱になる。
そして今も、主がいない静かな部屋には、竃の火が弾ける音しか聞こえない。
もし、この世界が夢だったら。
あの荒んだ生活が俺の世界であるのなら。
別に悲しいわけではないのに、涙が出てきた。
「シンタロー」
飛び起きた。
いつの間にか仰向けに寝転んでいた俺の膝に
少年と犬が座っている。
慌てて目尻をこすって水分を飛ばすと
パプワが俺の手を取って立つよう促した。
「今日は天気がいい。昼寝をするなら外にいくゾ」
「え、あ、ちょっと待てよパプワ」
子供とは思えない力で、半ば引きずられるようにして俺は家を出る。
部屋の主から引きずり出され、そういった意味ではないはずなのに
何故か泣きそうになる。
「パプワ、俺夕飯の仕度があるから、だから」
これ以上俺に泣き言を言わせないで欲しい。
これ以上俺にこの島の住人じゃないこと見せ付けないで欲しい。
「シンタロー」
「?」
いつの間にか俯いていた俺の足元にパプワがいる。
と思ったら突然視界が空になり、俺は背中から倒れこんだ。
すぐに小さな手が、俺の瞼に重ねられる。
「地面や太陽はお前がいた世界と違うか?」
「パプワ?」
「僕はココにいるゾ、シンタロー」
パプワが呼吸をする音が聞こえた。
その瞬間、俺の中に巣食っていた何かが一掃され、目からは涙が零れ続けた。
辛うじて礼を言う。
そして、頼むから手をどけないでくれと。
年甲斐もなく涙を流す俺を見ないで欲しいと懇願する。
「シンタロー。僕の世界はお前の世界なんだからな」
俺は何度も頷いた。
PR
Powered by Ninja Blog Template by CHELLCY / 忍者ブログ / [PR]