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言葉にすることが酷く億劫だ
眠る兄の横顔に
永遠に目覚めることを忘れた母の面影を見いだし
あまりに哀れで
首を絞めようか
手足を切り落とそうか
口付けようか
思案するうちに興味は薄れる
思考することが酷く億劫だ
四肢にまとわりついた憂鬱が骨までたどり着いた
僅かに開いた窓の隙間から光る闇が忍び込む
 
酷い月明かりだ
 
罪よ暴かれよ
罪人よ罰されよと
 
騒ぎ立てている
煩くてかなわない
切り傷が無数に走る兄の体は力無く放り出され月の光りの海にたゆたっている
その手を取って指先に唇で軽く触れた
未だ乾く気配のない鮮やかな血の匂い
白い指先に蛇のようにつたうそれさえも蠱惑的で
ふと気紛れに小指を絡ませてみた
何だか紅い糸で結ばれているようでいて
あまりの陳腐さに失笑する
汚れた血のみに結ばれた絆に一体何を求めているのか
祈りの届かない夜の底で結ばれた小指に
子供騙しの救いすら見いだせずに
疲れきった笑いを浮かべるしか術を持たないというのに
 
 
言葉にするには億劫すぎる
思考するには億劫すぎる
だからせめて約束しよう
貴方にだけはけして言うまい
一瞬でも
 
有るはずのない未来を夢見たことなど
 
 
 
 
 
 
 
 
絡まっていた小指は離れ
あまりに一方的な
誓いにも似た約束は
ただ一人胸の内
果たされる時を待っている
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