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もし。
 
ん?
 
もしだ。
 
何だ?
 
私が、君が「弟」だと知らなかったら。
 
あぁ。
 
今こんな気持ちにはならなかったのかね。
 
こんな気持ち?
 
そう。こんな気持ち。
 
どんな気持ちだ。
 
・・・・・だからね。私はまだ覚えているのだよ。
 
何を?
 
君が倒れていったところを。
 
お前に倒されたことをか。
 
君が亡くなったことを。
 
お前に殺されたことをか。
 
私のそばから消えたことを。
 
お前が消したことをか。
 
・・・・・・・・・・・。
 
・・・・・・・・・・・。
 
・・・・そんな黙らないでおくれ。
 
お前が変なことを言うからだ。
 
ただ、考えてみただけなんだ。
 
・・・・・・・・・・・。
 
少し、君の事を思い出しただけなんだよ。
 
そうか。
 
懐かしいと、思っただけなのだよ。
 
・・・・そうか。
 
もし・・・・。
 
ん?
 
・・・・・・・。
 
何だ。
 
もし君が「弟」と言うものでなかったら、私たちはどうなっていたのだろうね。
 
さぁな。
 
それでも私たちは惹かれていたと思うかい?
 
どうだろうな。
 
お互いを遠い身近に感じていたと思うかい?
 
わかるわけがないな。
 
今、こんな風に語り合っていると思うかい?
 
わかるわけないと言っているだろう。
 
ん?
 
私は好きではない。
 
・・・あぁ、そうだったね。
 
・・・・・・・・。
 
君はあまり「もし」と言う言葉が好きではなかったね。
 
・・・・・・・・。
 
・・・でも。
 
でも?
 
考えてしまったのだよ。
 
・・・・・・・・。
 
私は。
 
あぁ。
 
君がいないこちらの世界は暖かいよ。
 
あぁ。
 
満たされているよ。
 
そうだな。
 
もう孫の顔も見たしね・・・。
 
可愛かった。お前に似て。
 
私の息子を見たときの君の顔といったら。
 
ん?
 
とても穏やかで。
 
そうか?
 
嬉しそうで。
 
・・・・・。
 
その時私は泣いたね。
 
あぁ。不可解だったな。
 
君は理由を聞いたけれど。
 
そうか?
 
言わなかったね。
 
・・・・そうだな。
 
今なら言えると思うよ。今でも聞きたいと思うかい?
 
お前が話しても言うというのなら。
 
そう。
 
あぁ。
 
じゃぁ言おう。
 
あぁ。
 
・・・君がヤキモチを焼いてくれるんじゃないかと思ってね。
 
・・・・・・・・・。
 
悔しそうな顔を見せてくれるんじゃないかと思っていたんだ。
 
またくだらないことを。
 
私の腕の中にいる嬰児が、何故自分じゃないんだと。
 
・・・・・・・・・。
 
そう泣き叫ぶのを期待していたんだ。
 
私が?泣き叫ぶ?
 
私を独占したいと言ってくれるのではないかと、思っていたのだよ。
 
思っているさ。だが。
 
え?
 
結婚したろう。
 
あぁ・・・・・あぁ、そうか。
 
そのときに、な。
 
確かに・・・・確かに、そうだな・・・。
 
子供なんていまさらだろう。
 
私が結婚したときか。・・・あぁ、そうか。
 
お前に似た子は可愛かった。
 
君は潔いな。
 
そんなことはない。
 
本当に私より年下かい?
 
あぁ。恐らくな。
 
でも私は潔い君は嫌いだよ。
 
・・・・・・・・・?
 
もっと甘えて欲しかったよ。
 
甘え方を知らない。
 
もっと私を求めて欲しかった。
 
求めたろう?
 
・・・・もし。
 
またか。懲りないやつだ。
 
最後だから。ね?
 
最後だぞ。
 
もし、私がそう望んだら、君はどうするんだい?
 
私がお前を求めるようにか?
 
私を君のそばへ連れて行ってくれるかい?
 
私の?
 
この腕の中に抱きしめさせてくれるかい?
 
私を?・・・・・そうだな。
 
・・・・・そう。
 
お前が望むのなら。
 
わかった。
 
・・・・・・・・・。
 
有り難う。
 
いや。
 
これで、ゆっくり眠れる。
 
確かにもう寝たほうがいい。最近忙しかったのだろう?
 
そうだね。
 
あぁ。
 
君が嫌だと言うなら私から行けばいいのだね。
 
・・・・あぁ。
 
あぁ。
 
ん?
 
考えてみれば、私はいつも君から与えられるばかりで。
 
そうでもない。
 
君に縋るばかりで。
 
そうでもないさ。
 
・・・・ごめんね、ユリウス。
 
・・・・・・・・・。
 
今度は私が君を求めることにするよ。
 
あぁ。
 
だから。
 
何だ?
 
このまま連れて行ってくれないかい?
 
・・・・・・・・・。
 
道案内をしてくれるだけでいい。
 
・・・・あぁ。
 
私が君の手を引こう。
 
私の手を?お前が?
 
兄らしいことをさせておくれ。
 
兄か・・・・・。
 
最後だから。
 
あぁ。
 
最期だから。
 
お前がそう望むのなら。私のそばへ来い。
 








































呼吸は、静かに止まった。
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