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「だから、僕が言いふらしたんじゃありませんって!」
「じゃあ誰だってんだ、ああ?俺はそこの生ゴミから聞いてんだぞ?」
「生ゴミって・・・」
黒づくめの男の向こう側に、ずんぐりとした巨大なもぐらのようなものがいる。
少し焦げているし川の中のようなにおいがするけれど、あれはたぶん間違いなく顔見知りの、人間だ。
「お陰でこっちは心の平穏が乱されっぱなしなんだよ・・・!」
「でも、だから」
怒りの形相の持ち主がボキボキと指を鳴らした。眼前から伝わてくるだけに妙に迫力がある。
「聞いてくださいって!僕はただ、ボルガンさんに聞いただけなんですってば!」
「ほう、なんてだ?」
「オーフェンさんて男性経験ありそうですよね、って」
「それのせいだって言ってんだろうがああああああ!!」
怒号と同時に顔面が真っ暗になった。すぐにチカチカと光が飛び出して、次いで青い空が目に入る。
「お前が変なことをあのアホに言いやがるから、俺が男相手にその手の商売してるって噂が飛び交ってんだろーが!」
「ふぉ、ふぉうなんですは?」
顔面が猛烈に熱い。あと倒れたときに頭を打ったからそっちも。熱くてしびれてあまり感覚がない鼻に手を当てるとぬるっとした。
「いいか、鼻の穴を増やされたくなかったら、俺の噂を耳にしたやつにきちんと訂正しやがれ」
「ふぉうは言っても、誰が」
「いいのか他人事でも」
「?」
「お前んちの宿に、男を買いたいとかいう奴らが集まってくるんだぞ、いいのかそれでも」
「そ、そればぢょっど・・・」
「現に昨日ひとり声かけてきた」
(この人に?)
なんとか上半身を起こして、見上げた。
横顔だけでも、普段の人の悪そうな顔に苦虫を噛み潰したような表情が混ざっているのがわかる。
ぶつぶつ言ってる最中に細められた目だとか、凶悪以外の何者でもない。
(この人を、買う?)
うちの宿に来る肉体労働者の屈強な腕が腰に回されているところを何となく想像し。
「おい、わかったか?今治すからちゃんと宿に来たやつに訂正しとけよ、いいな?」
鼻血が出ている顔面を両手で抑えながらうなずいて、足を引き寄せた。
学校の運動の授業のときにしかしない体勢だって後から気がついたけどどうしようもなかった。
ゴミを捨ててくる、と、片手で重そうに人を引きずっていく後ろ姿を見送ったあと、トボトボとたどる帰り道、自分は何故かとてつもないことを自覚しそうになっているんじゃないかと思って、慌てて頭を振った。
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