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痛みだけ感じないのかなと思って尋ねたら、そんなこともねえんだけど、俺にもよくわからない。と曖昧な返事だった。
蚊に刺される割には爆発のど真ん中にいても傷一つないし、サイタマ氏の体ってちょっと変わってる。
暑いと汗が出てるから、感覚が麻痺してるわけじゃないみたいなんだよね。
冬も寒そうだし(頭とか特に)。
痛くない痛みは受け入れるのかな。
「不思議だねえ」
「まあでも、確かにぜってー痛ェだろうって思ってたことが痛くなかったしな」
「注射とか?」
「注射とかここ何年もしてねーよ」
「インフルエンザの予防接種も受けないの?」
「ここ何年か風邪も引かねえし、いいかなって」
強いからなのか、たまたまなのか、よくわからないけれど、なんとなく前者のような気がする。
「でもなキングとこうして会うようになってから、楽しいなって思うようになったんだぜ。悔しいとも思うし」
「そっかあ。それは嬉しいね。ジェノス氏のおかげなのかな」
「なんで?」
「だって、ヒーロー登録してなかったらサイタマ氏、俺のことなんて一生知らないままだったでしょ?そういう意味では俺の憧れのヒーローを見つけてくれたのもジェノス氏ってことになるのかな」
「?」
「ジェノス氏が来てからだいぶ楽しいんじゃない?」
「うーん。大体が迷惑だけどな」
「困るっていうのもきっと立派な感情だよ」
「それもそうだな」
「良かったじゃない」
「そうか。良かったのか」
言葉の割には淡々とした受け答えなので、漫画から顔を上げて斜向かいに座るサイタマ氏を見る。
サイタマ氏も手元のゲーム機から顔を上げて、窓の外を見ていた。
「でもなあ」
「うん?」
「どうせなら、女の子にキャーキャー言われたかったなあ」
そう言いながら窓の外の何かに唇を尖らせるので、視線の先を追った。
さっきから少し騒がしいなとは思っていたけれど、速くて全く見えない。でもあの爆発音はジェノス氏だし、そのジェノス氏がやり合っているのなら何度か聞いたストーカー忍者だと思う。
なんか頭痛が痛い、みたいな名前の。
「そのうち言われるんじゃない?でもファンって怖いよ」
「そうなのか?」
「俺はまだ遠巻きに見られるタイプだからいいんだけど、金属バッドのファンとか聞くとすごいし、人だかりが出来るらしいし持ってるもの盗られるとか聞いたこともあるよ」
「それは困るな」
「抜け毛をお守りにする人もいるって」
「その点は問題ない」
「うん・・・そうだね」
そろそろ買い物に行くけど、とサイタマ氏が腰を上げたので、俺も立った。
たぶんそれは口実で、外の騒ぎがうるさくなってきたんだと思う。
「そういえばこの間うちの近くのスーパーで、あずきサイダーの似たやつが出てたよ」
「へえ、なんだろ。見たら買わなきゃな」
「今度来る時に持ってくるよ」
「お、サンキュー」
それじゃあ、と言いながら外に出た。一緒に出てきたサイタマ氏と横に並んで、なんとなく人がいるんだなっていうのはわかる速さで飛び交う空間を眺める。
そして眼の前を突風が過ぎたと思ったらサイタマ氏の眼前の道路が陥没した。
「これが前話したなんとかのなんとか」
「うん・・・」
めり込んでる。生きてるのかな。
そうこうしているうちに今度はジェノス氏が陥没の横に降り立った。
「先生!!」
「うるせーんだよお前ら」
サイタマ氏のお説教を背にして帰路へつく。
そういえば、絶対痛いと思ってたのに痛くなかったことってなんだろう。
タンスの角に足の小指をぶつけたけどタンスが壊れた、とかかな。
あ、そうだ。
携帯電話を取り出す。
数少ない連絡先からヒーロー協会を選ぶ。すぐに繋がった。
「あの、Z市の道路がね、そう前も頼んだところのそばなんだけど。すごくガタガタになってたから・・・直しておいてほしいな」
『また怪人を倒したのですか?すぐに手配します!』
違うんだけど。ほんと違うんだけど。違うって言えない自分が本当に不甲斐ない。
サイタマ氏はそのままでいいって言ってくれてたけど。
「今度高い肉とかなにか買っていこうかな・・・」
大きく息を吸い込んで、ゆっくり吐いた。
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