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必死の抵抗なんだと思う。
決して簡単に割りきれるような奴じゃないんだという
奴なりの主張なんだろう。

簡単に俺にはたどり着けないぜという
挑戦なのかもしれない。

大衆一般には壁を作ってるくせに
同じ奴には簡単になびいて自分の形を変えやがる。


気に食わねぇ。



「さっき言ってたの、何にですか?」

「あ?」

「さっき、授業中に気に食わないとか何とか呟いたでしょう?」

「…そうか?」

「秘密なら別にいいですけど…」

「ルート記号が気に食わんかっただけだ」

「…そうですか。先生にも聞こえるくらいはっきり言ってましたよ?
 独り言はもう少しこっそり言った方がいいでしょう」

「げ」




今学期の数学はもうだめだな、と思いながら溜め息をついたとき、


「なっぎっさ~ん!!」


という、やかましい声が耳に入る。

昼休みの廊下はざわめきで満ちているのに、
何故たった一人の声を聞き分けることができるのか。


「…重症だな」



呟いて、俺は席を立った。

奴は相棒といることで一般人に紛れ込み
今日もはっちゃけている。

どうせならそのままでいればよかったのに。

俺は書かれた記号を指で弾いてから教科書を閉じた。
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