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そうか、女の人の気分ってこんな感じなのか。
ふと思って、彼の律動を感慨深く受け入れる。
この場の思考にしては相応しく無い気もしたが
また、ひどく似合っている気もする。
なんだか奇妙な感じで、圧迫感と、気持ちが良いとは言い難い感覚。
彼が僕の身体深くまで抉り、僕はそれを享受する。
その一定の動作。
息が詰まる。
眼の前で揺れる紅い髪越しに見え隠れする、君の顔。
眼を瞑ると瞼の裏側でも紅い髪は忙しなく揺れている。
 
よくわからない。
酷く滑稽な気がする。
 
彼の首に腕を回し、汗ばんだ身体を引き寄せるように抱きしめる。
 
これで少しは近づけただろうか?
これで僕らは少しでも近づけただろうか?
 
二人がひとつになると言うよりは
どうあってもひとつになることなんてできやしないことを
わざわざ再確認しているだけのようだ。
なんだってこんな惨めな行為が
世の男女の想いの終着点だって言うんだろうか。
 
いっそ頭からバリバリと食べて下さい。
骨も残さず。
悔いも残さず。
何も残さず。
その方がいっそ潔く、身も蓋もなくて僕らにはお似合いだ。
 
「ユリウス」
 
呼びかける。
律動は緩まない。
君は八つ当たりする子供みたい。
僕は彼の肩を押し返してそっと口付けた。
 
「今どんな気分?」
 
彼は動きを止め、僕を見た。
突き刺すような紅い眼差し。
吐き捨てるように彼は
 
「最悪だ」
 
と、笑った。
僕もつられて笑った。
 
彼は僕の顎を捕らえ、乱暴に頬から目尻にかけて舌で拭った。
 
「不味い」
 
顔をしかめて、手の甲で口元を拭う。
そりゃタダの食塩水だからね。
でも…美味しかったら全部喰べてくれるんだろうか?
なんて的外れなことを考えながら
なんだかまた可笑しくなって小さく笑った。
 
彼の動きが再開する。
僕はそれを受け入れる。
彼の八つ当たりにも似た想いと、確かな体温。
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