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時にはある消化不良も、親爺の采配だと気がつく程度の余裕や知識がもてるようになってからは後悔より憤りの色が濃い。
それでも何故親爺が介入してくるのか理解できない自分の無知に本当に腹が立つ。
そのせいもあって、そりゃあもう、かなり怒りを顕にした顔だったんだろうよ。怒りっていうか、もう殺意っていうほどの。そもそも俺は前科持ちなんだよね、親爺に刃を向けるって意味では。
だから、親爺の店にいる名前も知らないスーツを着た人相が悪いあいつに、店に入る前に出会っちまって、呼び止められた上に抵抗して捕まったのはしょうがねえと思うんだよ。
でもその後のこれは、ないと思う。思うっていうか、ないだろ。こいつが言ってることを総合すると、そもそも親爺が俺への報復をしなかったのが引っかかってるらしい。そんなの八つ当たりだろ?
「い、って」
また蹴られた。さっきから外から見えないところばかりだ。さすが、その筋の人は違う。
「ニヤニヤ笑ってんじゃねえ」
この人はヤクザに向いてねえと思う。ボディーガードとしちゃ優秀なんだろうけど。硬いものが入ってる爪先で蹴ろうとしてこない甘さは、もしかして親爺が手加減しろとか言ってるからだろうか。
「要件があるならもっといい顔してから出直しな」
煙草をビルの壁に押し付けて揉み消した男はそのまま姿を消した。吸っていた煙草を、てっきり押し付けられると思ってただけに拍子抜けだ。
その足音が聞こえなくなってから身支度を整えてふたつ隣のブロックへ向かう。先程入れなかった寂れた珈琲店に入ると、露骨に顔を歪ませたそいつが足早に俺に近づいてきた。
「いい」
聞き慣れた声がそう言って止めた。見ると、カウンターの中で皿を拭いていてこちらを見てもいない。
目の前まで寄ってきていた柄の悪い男を完全に意識から外して、カウンターに座る。もう水さえ出てこない。
「なんかネタ、くれよ」
「・・・」
「ねえの?」
「2週間後に来い」
「あ、そ」
席を立つ。脇腹から引きつるような痛みが足まで走り、自然と足が止まった。意を決して足を伸ばす。倒れるにしろせめて店を離れてからと、痩せ我慢を重ねた体は、家につく頃には頭痛にまで発展していた。
熱が出ているだろう。しばらく動けそうもない。
逆らうことが無駄なことだなんて、知っている。相手にしちゃいけない存在がいるってことも知っている。それでも抗おうとするのは、自分が考える脳みそさえ持たない小さな虫けらだからなのかもしれない。
血尿なんてものが出たらどうしようか。そんなことを考えながら目を閉じる。暗闇の中で世界が回り、しばらく息を詰めたまま枕を湿らせた。
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