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 目の端に何かが映った。
 それが蝿という生き物だと認識するまでに思考が3回ほど巡った気がする。
 瞬きをすることを忘れていたことに気づき、目を閉じて、開けた。
 少し痛かった。
 自分のものではない枕に気づく。
 それなのにこれは自分のものだと思った。
 音がした。
 それは人間が発した音だったが、音としかわからなかった。
 音がしたほうへ視線を向ける。
 長い髪の寡黙な男がいた。
 本をめくっている。
 何が書かれているのかわからなかったので、再び目を閉じた。
 また何か音がしたが、気にならなかったので気にしなくて良いことなのだろうと思った。
 唇がざわりとした。
 空気が震えた感触だった。
 今何か言ったのかもしれない。
 寝言だろうか。
 目を開いた。
 本を読んでいた男が、初めて見る顔をしていた。
 薄い唇を開いたまま、何度か瞬きをしている。
 頭の片隅で笑い声がした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ねぇちょっと聞いてよティッシ!」
「おはようアザリー。どうしたの?」
「さっきあの堅物に会ったんだけど」
「堅物・・・コルゴン?」
「そう!昨日、アンタなんて恋したこともされたこともないでしょって言ったんだけど」
「ええと・・・どうしてそうなったかは聞かないでおいてもいいわね?」
「ええ、本題はそこじゃないの。それでね、さっき会ったら」
「おはよう、ティッシ、アザリー」
「おはようキリランシェロ」
「恋人に恋されているからお前が言ったことは間違っている、って言われたのよ!」
「えええ!?コルゴンって恋人いたの!?」
「あ、おはようハーティア」
「キリランシェロ!おはよ!後ろ何かすごい盛り上がってるけど・・・」
「うん、なんかコルゴンに恋人がいたとかなんとかで話題みたいだよ」
「えっ!?なにそれ!?それは大事件だよ!」
「事件って・・・」
「っていうか恋人って誰!?」
「僕が知るわけないだろ!」
「何だよ昨日会ったんだろ!聞いてないのか?」
「え、何よキリランシェロ昨日会ったの?」
「いや会ったけどさ、普通のことしか話してないよ」
「ちょっと教えなさいよー」
「だから知らないって。恋とか」
 
 
 
 
 
 
『お前は恋をしたことがあるか?』
『アンタに今してる』
 
 
 
 
 
 
「・・・ちょっとキリランシェロ?あんた顔色悪いわよ」
「どうしたの急に」
「やっぱり昨日恋人の話とか聞いたんでしょ!」
「いや、聞いてない。恋人の話は聞いてない、ほんとだって」
「ほんと~?」
「何か怪しいわね」
「ほんとだって。世間話を一言二言しただけだから」
「なあに?なんて?」
「本は好きか?とか・・・」
「ああ・・・そう・・・」
「やっぱり本人に聞くしかないわね」
 
 
 
 
 
 
「キリランシェロ、やっぱり顔色悪いけど」
「うん・・・いや昨日なんか夢見が悪かったみたいでそれ思い出した」
「夢でまであの二人に追いかけられてるのか?わかるなあ、それ」
「いやそういう・・・うん、そうだね・・・」
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